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目が見えない人のための「かぎ針編み」



昨日ご紹介した すてきなブランケット。



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これを作ったのは アメリカ、ケンタッキー州に住む マーガレット・メリーさん。

視覚障碍者のための学校で先生をされている シスターです。

マーガレットさん自身も 視覚障害があり

片目は全盲、もう片方の目で わずかに光を感じる程度だそうです。




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マーガレットさんは 1982年に 同じく視覚障害を持つ友人のキャシーさんから

かぎ針編みを教わりました。 以来 かぎ針編みに魅了され、

数々の大作を作り続けています。



マーガレットさんの編み方は 独特です。

視覚障害がある人用に 工夫された編み方で

目に頼らず 指で 糸をあやつり、指で 編み目を数えます。



マーガレットさんのHPでは その方法についても ビデオで解説してくれています。


例えば 鎖編みをはじめる前の 作り目の作り方。



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まず 最初に わ、を作り、 左手に持つ。

つづいて 右手で もうひとつ わ、を作り、 右手に持ちます。



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右の輪を 左の輪に通し 糸を引き締めます。




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できた輪を 糸をひいて さらに引き締めます。





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ある程度小さくなったら かぎ針を通し さらに引き締めたら 作り目の完成です。




くさり編みは 針で糸を引き抜くというより 針に糸を引っ掛けるようにして編んでいきます。



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細編みや長編みは 編み針を お腹に突き刺すようにして持ち、

そこに糸を掛けて 針にかかっている方の糸を 外していくようにして編みます。



くわしい編み方は すべて マーガレットさんが 動画で見せてくれています。

これは 見える方には見てもらおうという事と 

目が見えない人には 言葉で説明したものを 聞いてもらうためです。

(ただし 英語ですが)




色については 最近のコンピューター技術の進歩により

ぼんやりとですが 識別できるようになったそうです。




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視覚障碍者用の機器で 写真を拡大し、

画面全体に色を映し出すことで 弱視の方の目で 色を感じ取ることができるようです。

普段編むときの毛糸の色は ボランティアの人に見てもらっているのだと思います。





再び マーガレットさんの 作品です。


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見れば見るほど すばらしい! 

とっても かわいい色の組み合わせです。

デザインは マーガレットさんが 考えたそうですよ。





今回の マーガレットさんのブランケット、

視覚障碍者なのに すごい!という 安易な気持ちで ご紹介したわけではありません。

私が 感動したのは 「人間の持つ可能性」という点です。

目が見えなければ 耳が

耳が聞こえなければ 指が。

どこかに障害や不都合があっても わたしたち人間には いろんな可能性があって

その他の器官が お互いを補うために すばらしい力を発揮してくれるんですよね。

一時は ゴーストライター問題で 何かと騒がれた視覚障害のお話ですが

わたしは 誰もが 遅かれ早かれ ある程度の視覚障害を持つことになると思っているので

自分に無関係な話とは 思えません。

このマーガレットさんのような方法を知っていれば 私たちが年をとって目が見えなくなっても

また別の方法で かぎ針を楽しみ続けることができるんじゃないかなと思っています。




マーガレットさんは 視覚障害を 神様からいただいた「ギフト」だと言っています。

ギフトとは 日本語でいうところの 贈り物やプレゼントという意味もありますが

英語では 「特別な才能」という意味もあります。

まさに 指で毛糸を感じ、指で「見る」ことができるというのは

目が見える人にはない 「特別な才能」のなせる業かもしれません。

そして ベットカバーに仕立てるだけの すばらしい根気、ですね。



マーガレットさんは かぎ針の楽しさを 視覚障害を持つ子供たちにも教える傍ら

音楽(演奏、作曲)や ルーミング(リリアンのような編み物)も楽しんでいます。



日本の視覚障碍者の方にも かぎ針の楽しさを知って頂けたらな・・・・。




そして 見えなくても これだけの作品が作れるのだと言う事を

日本の人にも知って頂きたくて ご紹介してみました。

これを見たら 「時間がないから作れない」とか 「センスがないから」とか

「初心者だから」 「もう年で目が見えないから」・・・・なんて 

言い訳しちゃいけないような気になりますよね(^_^;)



人間、どんな状況でも やれば できる!!




マーガレットさんサイトは こちら


連絡先やメアドは こちらです。

St. Joseph Academy ~ 48 Needmore St. ~ Walton, KY 41094
859-485-6444
St. Joseph Academy


music@saintjosephacademy.net


マーガレットさんのサイトに行けば キルトブランケットの編み図も無料で公開されています。
(また このブログでも日本語で紹介する予定です)


その代わり 関心のある方には寄付をお願いします、というのが
マーガレットさんのメッセージです。
(視覚障碍者の活動に理解を深めてもらうのも目的ですから、強制ではありません)


マーガレットさんの勤める施設(セントジョセフアカデミー)への寄付や
マーガレットさんとコンタクトがとりたい方は お手伝いしますので
ご相談ください。 わたしでできることがあれば お役に立ちたいと思います。




それでは また♪




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